台湾誌『鏡週刊』(2026年10月1日付)が報じた。それによると、HP向け生産ラインを一時停止したとの情報についてクアンタの広報担当は同日、「個別の顧客に関するコメントは差し控える」とした。
一方、同誌の伝えた事情に詳しい台湾の業界筋は、クアンタが適正な利益を守るために断固とした措置に踏み切ったとし、梁副董事長が9月、HPに対して異例の「全面出荷停止(ライン停止)」を命じ、約1週間後に供給を再開したことが分かったと述べた。
同誌は、2026年に入って部品価格の高騰を受け、NBの製造コストは上昇を続けていると指摘。メモリやCPUは、一般的に顧客から支給される「コンシグメント(consign)」部材であるため、価格上昇の影響は主にNBブランド側が直接負担するが、プリント基板(PCB)、パシップコンポーネント(受動部品)、リチウムイオン電池、パワーマネジメントIC(PMIC)、Wi-Fiチップ等はODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)業者が調達するため、相次ぐ値上がりがODM企業の利益を著しく圧迫しているとした。
先の業界筋は、NBブランド主要各社のうち、デルは部品コストの上昇分をほぼ全額負担してサプライチェーンを支援、最も「誠意」を見せたと指摘。エイスースと台湾エイサー(Acer=宏碁)も出荷規模の減少とコスト高の痛みをパートナーと分かち合うべく、製造委託の価格引き上げに応じたと述べた。これに対し、NBブランド最大手の中国レノボ(Lenovo=聯想)と同2位のHPは従来の調達価格にこだわり、価格を据え置く姿勢を維持する傾向にあると語った。
その上でこの業界筋は、NB受託製造事業の合理的な利益率を守るため、クアンタの梁副董事長が9月、HP向け生産ラインの全面停止を決定したと指摘。HPはクアンタにとって最大の顧客であり、クアンタもHPにとって最大の製造パートナーであるため、両社にとって大きな痛みを伴う決断だったが、コスト高に対するクアンタ側の強い危機感を示す形をとったとした。クアンタの生産停止を受け、HPでは本社からサプライチェーン担当幹部を緊急に台湾に派遣、梁副董事長と直接交渉し、コスト増に対する補償策を提示した。クアンタ側も提案を受け入れ、約1週間に及んだ異例の供給停止は解決し、生産ラインは正常稼働に戻ったとしている。
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